弁護士のメモ帳 不動産編 Vol.1

>

    このメモ帳では、当事務所の弁護士が実際に関与した案件などを参考に、相続問題や不動産問題についての話題を綴ります。

 今回の話題は、当事務所にて多数扱っている不動産案件のうち、賃貸借のお話。当事務所では、開業以来、賃貸借契約や家賃に関連した案件を多数扱っています。

「家賃収入」「不動産所得」という言葉を聞くと、「優雅な大家さん」を連想するかもしれませんが、多くの大家さんは、「大家稼業は楽じゃないよー。」と嘆いています。

 大家さんを悩ます大きな問題の一つが、家賃滞納の問題です。

 一般に、賃借人が家賃を3ヶ月分以上滞納した場合、賃貸借契約を解除した上で、立ち退きを請求することができます。しかし、家賃を滞納するような方は引っ越しをするお金もないということがほとんどで、居座り続ける人もいます。

 このような場合、大家さんから「鍵を取り替えちゃっていいですか?」との質問がよくありますが、これは絶対にやってはいけません。逆に、損害賠償請求をされてしまうおそれがあります。

 このような賃借人を立ち退かせるためには、裁判所に「立ち退きの訴訟」を提起する必要があります。訴訟を起こせば渋々立ち退いてくれる方が多いのですが、中にはそれも無視して居座る方もいます。その場合は判決を取って、「強制執行」という手続を踏む必要があります。「強制執行」というのは、裁判所の力を使って強制的に立ち退きをさせる手続です。

 この「強制執行」ですが、裁判所の「執行官」という公務員が行ってくれるのですが、「執行官」だけでは荷物の搬出などができませんから、執行官を補助する「執行補助業者」という民間の引っ越し業者をお願いする必要があります。この「執行補助業者」ですが、専門的で危険を伴う仕事ですので、それなりの費用がかかります。案件によって異なりますが、ワンルームマンションの明け渡しで50万円ということもよくあります。

 もっとも、「執行補助業者」は、「執行官」と同じく、「立ち退かせるプロ」であり、どんな状況でも立ち退きを実現する頼れる存在です。当事務所で扱った案件でも、強制執行の際に、「この部屋を出されてしまうのなら、ここから飛び降りる!」と騒いだ賃借人がいましたが、「執行補助業者」がうまくなだめて、短時間で立ち退きを実現しました。

 家賃を滞納された上で、このような費用を負担してまで立ち退きをしなければならないとなると、大家さんの嘆きも理解できますね。

 当事務所では、家賃滞納を理由とする立ち退き請求は年間平均20件ほど扱っております。法的手続にかかる時間以外の時間をできるだけカットし、迅速に解決できる態勢を整えていますので、お困りの大家さんは是非ご相談ください。

UA-40268731-2