弁護士のメモ帳 相続編 Vol.5

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このメモ帳では、当事務所の弁護士が実際に関与した案件などを参考に、相続問題や不動産問題についての話題を綴ります。今回は、相続放棄のお話です。

「相続放棄」とは、相続人が自らの意思で相続人の地位から離脱することを認めるという制度です。

相続人は、被相続人(死去した方)が遺したプラスの財産だけではなく、マイナスの財産(負債)も含め財産関係をすべて承継するというのが法律上の原則です。

しかし、常に相続人が全ての財産関係を承継しなければならないとすると、たとえば、被相続人が莫大な借金だけを遺して死去された場合に(しかも家族に秘密で)、遺族が過大な債務の負担を負わされるのは酷なので、相続の放棄という制度が認められています。この場合、相続放棄をした相続人は被相続人が負担した借金の返済義務を免れることになるのです。

ただし、相続放棄をするには必要書類を集めたうえで、相続放棄申述申立書という書類を作成し、適切な家庭裁判所に提出しなければなりません。他の相続人に対して、「自分は相続を放棄するよ。」と伝えるだけではだめなのです。

また特に注意が必要なのは、相続人は自分のために相続が開始したことを知った時から3か月以内に相続放棄の申立てをしなければならず(「熟慮期間」と呼ぶこともあります)3カ月を過ぎると原則として相続放棄ができなくなってしまう点です。

しかし、実際のところ裁判所に提出する書類は決して少なくはありませんし(被相続人や放棄をする相続人の戸籍一式や住民票等)、債権者からの問い合わせ(あるいは取り立て)にも対応しながら、3か月以内にこれらの必要書類を集めて、申立書を作成して家庭裁判所に提出するのはなかなか大変な作業です。

この点、弁護士であれば、裁判所に提出する必要書類一式は、ご依頼者様に代わって集めることができますし、裁判所に提出する書類の作成、そのほか債権者への対応、交渉全て代わって行うことができます。

また、当事務所で扱った例外的なケースでは、相続人と被相続人間の関係が疎遠であるなどして3か月の「熟慮期間」がすでに経過してしまった事案がありました。この場合、熟慮期間内に相続放棄の申し立てができなかった事情を、必要書類を添付するなどして家庭裁判所に説明することにより、例外的に熟慮期間経過後の相続放棄の申し立てが家庭裁判所に受理されました。

 当事務所では、被相続人がプラスの財産だけを遺された事案ももちろんですが、マイナスの財産しか遺されなかった事案であっても、取り扱っておりますので、一度お気軽にご相談ください。

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