弁護士のメモ帳 相続編 Vol.6

>

このメモ帳では、当事務所の弁護士が実際に関与した案件などを参考に、相続問題や不動産問題についての話題を綴ります。

今回の話題は、「特別受益」のお話です。

 生前に相続人が被相続人(死亡した人)から贈与などの利益を受けていた場合、「特別受益」となる可能性があります。たとえば、子が親から、土地を無償で譲り受けたり、多額の現金をもらったりした場合です。

「特別受益」を受けた相続人は、その分だけ遺産の取得分が減ることになります。たとえば、遺産の総額が300万円、相続人が子二人(A,B)の場合を例にすると、Bが100万円の「特別受益」を生前に受けていた場合には、Aは遺産から200万円取得できますが、Bは100万円しか取得できません。

 そして、「特別受益」には期限がありません。過去の受益は全てさかのぼって計算することになります。被相続人が死亡する1年前の贈与はもちろん、50年前の贈与も計算に入れることになります。

 では、たとえば地価が安かった50年前に土地の贈与を受けたけれど、その後地価が急激に上昇し、相続が発生時には1億円の価値になっていたという場合、どのように計算するのでしょうか(評価基準時の問題)。もともと田畑だった土地が、開発によって宅地化され、たとえば50万円の価値だった土地が1億円に値上がりしたような場合です。

 このような場合、「相続発生時の価値」で評価することになりますので、この例では1億円の「特別受益」があったことになります。

 当事務所が扱ったケースでも、もともとつまみ菜の畑だった土地が、地下鉄が通ったことによって市街化され、50年間の間に土地の価値が100倍になった例がありました。このケースでは、当事務所の依頼者の相手方の「特別受益」が認定され、依頼者は想定していた以上の遺産を取得することができました。

 当事務所では、「特別受益」があるかどうか、それをどのように評価すべきかなど、「特別受益の問題」も積極的に取り扱っておりますので、是非ご相談下さい。

UA-40268731-2